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高額な費用がかかる先進医療技術

先進医療に係る費用が特に高額になる代表例として、以下のようなものがあります。

先進医療技術名 1件当たりの費用の目安
重粒子線治療
3,162,781円 (*1)
陽子線治療
2,692,988円 (*1)

 

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   電子より重い粒子を重粒子といいます。これを加速器で加速し、高エネルギーにしたものが重粒子線で、陽子線同様、固形がんの放射線治療の1種です。
 粒子線の中でも、医療には炭素イオン線が用いられています。炭素粒子は、粒子の中でも質量の大きいほうなので、重粒子と呼ばれます。
 がんの存在する部位の深さや大きさに合わせ、エネルギーを適切に選定して照射することで、がんのみにエネルギーを集中照射させることが可能です。その結果、がん周辺の正常な組織へのダメージを大幅に減らすことができます。
 体の深部にあるがん治療や、ピンポイントでのがん治療に有効で、また、副作用が少ないということから、手術や抗がん薬による治療が難しい場合に、有力な選択肢といえます。加えて、細胞の破壊力は、X線や陽子線の2~3倍といわれおり、従来の放射線に抵抗性を示す膵がんなど難治性腫瘍の治療で有力な選択肢になります。
 ただし、照射装置には巨大な加速器が必要なので、設置施設は限られます。

 
  1件当たりの費用目安
3,162,781円(*1)
 

≪部位・診療科の分類≫

呼吸器消化器腎・泌尿器女性生殖器 (乳房を含む)

≪療養の分類≫

先端機材(手術器具)を用いた治療法

≪がんの分類(悪性腫瘍・悪性新生物)≫

肺がん食道がん胃がん肝臓がん大腸がん・直腸がん乳がん子宮頸がん胆道がん・すい臓がんその他の泌尿器のがんその他の生殖器のがん進行がん・転移がん

  >> 実施している医療機関はこちら
 
●重粒子線に関する電話相談の連絡先
国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 QST病院 電話相談
<電話番号>043-284-8852
<受付時間>平日 9:00~11:30、12:30~15:00
 
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 従来、放射線治療としてよく知られているX線は、がんの手術後に再発予防を目的として照射されることが中心でした。固形がん(白血病など血液や造血器のがん以外の、腫瘤を作るがん。多くのがんが該当する)の放射線治療の1種として、近年注目されているのが陽子線治療です。
 陽子線とは、水素の原子核である陽子を高エネルギーに加速したものです。陽子線をがんに当ててがん細胞を破壊する治療法を、陽子線治療といいます。
 X線は、体に入ると徐々に吸収されるため、深部にいくにつれ、放射線量が減少します。そのため、深部に存在するがんには適切な量の放射線が届かなかったり、がんの周囲にある正常な組織にダメージを与えたりすることが難点でした。
 陽子線は体内に入っても表面近くでエネルギーを放出せず、停止直前で大きなエネルギーを放出する特性があります。この特性を利用し、がんの存在する部位の深さや大きさに合わせ、エネルギーを適切に選定して照射することで、がんのみにエネルギーを集中照射させることが可能です。その結果、がん周辺の正常な組織へのダメージを大幅に減らすことができます。
 細胞の破壊力は従来のX線を用いた放射線療法と同等ですが、体の深部にあるがん治療や、ピンポイントでのがん治療に有効で、かつ副作用が少ないことから、手術や抗がん薬による治療が難しい場合に、有力な選択肢といえます。

 
  1件当たりの費用目安
2,692,988円(*1)
 

≪部位・診療科の分類≫

神経・精神呼吸器消化器腎・泌尿器女性生殖器 (乳房を含む)

≪療養の分類≫

先端機材(手術器具)を用いた治療法

≪がんの分類(悪性腫瘍・悪性新生物)≫

肺がん食道がん胃がん肝臓がん大腸がん・直腸がん乳がん子宮頸がん脳腫瘍頭頸部のがん胆道がん・すい臓がんその他の泌尿器のがんその他の生殖器のがん進行がん・転移がん

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(*1)第117回先進医療会議「令和4年度実績報告(2021年7月1日~2022年6月30日)」より試算。医療機関によって、金額が異なります。