近年、体外受精で胚移植可能となるまで十分に発育した胚を移植しても、妊娠しない、または流産する症例が多く、特に年齢が高くなるとその傾向が顕著であることが課題とされている。移植可能な状態まで発育した胚の半数以上に染色体の数的異常が認められ、結果的に子宮に戻しても着床しない、または着床しても流産に至ることが明らかとなってきた。晩婚、晩産化が顕著な我が国では、繰り返し体外受精-胚移植(ART)を行うことの身体的、精神的、経済的、社会的負担が無視できない状況となっている。加えて、妊娠しても流産となった場合には流産手術を要し、さらに身体的、精神的、経済的負担を負うこととなる。
一方、移植する前に胚の異数性を含む着床能、発育能を判定することができれば、これらの負担を回避できるとの考えに基づいて導入されたのが、着床前胚異数性検査(PGT-A)である。PGT-Aによって胚染色体数を移植前に評価し、着床、発育がより期待できる胚を移植することで、ARTの成功率を高め流産を回避できる可能性があると考えられている。
本研究では、PGT-Aにより日本産科婦人科学会が提示する胚診断指針に沿ってA,B判定と診断された胚を得られ、初回凍結胚移植を実施する症例を「胚移植実施集団」とし、胚移植実施集団における妊娠12週時の継続妊娠率(生児獲得率と同等と推定する)を評価する。
○主要評価項目:
1)胚移植実施集団症例における妊娠12週時の継続妊娠率(生児獲得率と同等と推定する)
○予定試験期間: 先進医療告示日から2年0か月
○目標症例数:153例
(注)先進医療技術名に * 印がついているものは、「第3項先進医療技術」を表しています。